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山行記録

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松戸山の会

山行記録

 谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南陵 


 山名
谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南陵
 山行日
2016年10月16日
 人数
4名
 コース
ロープウェイ駐車場−一ノ倉沢出合−テールリッジ−南陵テラス−終了点−一ノ倉沢出合−駐車場
 費用
 
コースmap
南陵ルートマップ
 

 コ−スタイム

起床03:30→一ノ倉沢出合出発04:30→7:00南稜テラス→7:20登攀開始→10:10登攀終了→10:30 6ルンゼ下降開始→13:00南稜テラス→16:15一ノ倉沢出合(テント撤収)17:00出発→18:00ロープウエイ駐車場

 

 谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南陵

夜明け前の出発になるので、前日にテールリッジ手前にある、ひょんぐりの滝の高巻口を探索しておいた。この季節になると雪渓は全くなく、高巻点から下降用の残置ロープはあったが、下降点まで伸びているか確認できなかったので、高巻点からテールリッジ末端まで約60mの懸垂下降を強いられた。実際は残置ロープは下降点まで伸びていたが、安全を見れば妥当な判断であった。  下降点からは、?級程度のスラブがバンド上に伸びており、10m程度登った所から残置ロープを見つけた。実際は、下降点からひょんぐりの滝よりのテールリッジ末端から登れば、2m程度で、残置ロープが設置されていた。  テールリッジ下部は、スラブ帯で残置ロープはあったが一部急な部分もあり、気は抜けなかった。上部に至っては、?級程度の岩登りとなるがホールドはしっかりしているので、個人的には、上部の方が楽に感じた。5月下旬だと、一ノ倉沢出合からテールリッジ下部の岩稜帯近くまで雪渓があり、楽にテールリッジにとりつけるのだが、さすがにこの季節は、アルバイトを強いられた。 テールリッジ下部の難所を越えたところで1ヵ所目の低木の生えた草付帯に入り、超えるとまたスラブ帯となる。6月の中央稜の時はなかったが、今回上部の草付帯まで残置ロープが張られており、2ヵ所目の草付帯手前のいやらしいスラブも難なく越せた。この草付を越えると間もなく中央稜基部(取りつき口)となり、4か月前の記憶がよみがえってきた。 これより中央稜側壁沿にスラブ状の何ともいやらしいルートを左上していくのだが、先行パーティは烏帽子沢奥壁に取りついておらず、奥壁からの落石はなかった。1年半ほど前に来たときは、すでに奥壁に複数パーティが取りついており、落石の巣状態で、非常に怖い思いをした。自然落下も想定されるので、ここの通過も気は抜けなかった。

 
 

南稜テラスに到着後、先行パーティを見送って、まずは1ピッチ目。スラブ状の凹角から左のカンテを越えて、バンドを右に進む。ポイントは屈曲するルートに対するヌンチャクのポジションで、ロープの流れを考えるとアルパイン用のものが有効である。次に、チムニをほぼ直上すればテラスに出るが、チムニ内の最初のハーケンの位置が15cm程高い位置にあり多少苦労した。 2ピッチ目は?級なのに、30mに対してハーケンが2本しか見つけられず、S矢さんがぶつぶつ文句を言っていた。1年半前はもっとあったはずで、誰かが抜いてしまったのであろうか?テラスから右上気味に登り、バンドを左に取り、直上してテラスに到着。 3ピッチ目は草付なので、コンテで40m程登る。 4ピッチ目は、短いフェースをビレーポイントから20m程直上し(Y田さんは、左側のルートを取ったが、上部が少し湿っておりいやだったとのこと)上から大きく被る岩を巻くように、6ルンゼ側の岩場から右のリッジの末端に出て終了。短いフェースの登りだしも、ハーケンが少なく2つ目のハーケンが8m以上離れており、落ちるとグラウンドフォール確実で、肝を冷やしながらリードした。下からは「I田さん、落ちたら僕よけるから大丈夫!」とY田さんの声が届き、かなわんかった。 5ピッチ目は、ビレーポイントから右側の岩を越え、馬の背リッジを直上。風が少し出てきたが、右側の烏帽子沢奥壁側が切れており、快適な登攀となった。S矢さんに言わせると、想像していたより切れが甘かったらしく、不満そうであった。 最終6ピッチ目は、ピナクルを凹角から登り(ここは完璧に切れており、落ちると、優に200mは空中散歩が楽しめる)、一旦傾斜の強いテラスに出て、逆層の垂壁を20m程度登攀して終了。この壁が南稜の核心部で、スタンスの取り方を間違えると、にっちもさっちもいかなくなり、壁に張り付くヤモリ状態になってしまう。ハーケンはそこそこあるが、バランスが要求される。我がチームのセカンドはS矢さん、後続のリードはI塚さん、そのセカンドはY田さん。3人ともあっさり登ってくるので、ちょっと拍子抜けしてしまった。今回、2ペアの登攀時間が2時間30〜40分だったので、トポ図の標準時間を切っており、充実した納得のいく登攀であった。

 
 

下降は、終了点から左に5m程移動したところの6ルンゼを懸垂下降した。60mロープを使用したので、4回の懸垂で南稜テラスまで降りたが、途中登攀ルートと被る部分があり、大渋滞となってしまった。 話しには聞いていたが、登攀終了後の疲労した身体でテールリッジを下るのと、ひょんぐりの滝を無事抜けることの大変さを、身を以て経験した。この季節の谷川岳一ノ倉沢の核心部は、下山ルートに隠されているといっても過言ではないと思った。 登攀中2ルンゼで滑落事故が発生し、動けない登攀者を対壁から見ていた(大きな落石がありその時発生か?)。詳細は不明だが我々が南稜テラスに下降中、群馬県警のヘリが救助に来た。 登攀者の間では、テールリッジの途中までしかヘリが来られないとのことだったが、実際は、2ルンゼスタート点の真上まで来てホバーリングしながら怪我人を吊り上げていた。恐らく、中央奥壁の5m近くまでロータを接近させているように見えた。天候条件が良かったとはいえ、まさに生唾をゴクンと飲み込むほどのスリル感を味わった。山岳救助隊の操縦士の技量は抜きんでていた。きっと、彼らは「いい加減にしろよ!こんなところで怪我しやがって!」と思っているのではないだろうか?しかし、一つ間違えると自分が吊り上げられる方の人間になっている可能性があり、ロッククライミングというスタイルにこだわっている自分と少し距離を持って対峙しているもう一人の自分を感じていた。  南稜2回目で思ったことは、一般にガイドブックの入門コースと紹介されているが、一ノ倉沢の取りつきからトータルで登攀を考えると、決して決して侮れないということである。単に壁だけを登るクライミングではなく、アルパインクライミングそのものを感じ、谷川岳一ノ倉沢の奥深い魅力でもあり、これまでに800人以上のクライマを飲み込んだ魔の山の姿を垣間見た。

 
 I田 記
 
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TAG:谷川,登攀・沢登り,谷川岳, 一ノ倉沢, 南陵, アルパイン, クライミング

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